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研修講座のご案内

令和4年度 第34回 夏季研修講座のまとめ

2022年09月13日(火)更新

不登校事例の理解と対応
〜SC奮闘記!子どもたちから学ぶこと〜

はじめに

時下、胆振管内教職員の皆様方には益々のご健勝のこととお喜び申し上げます。また、平素より胆振教育研究所の研究にあたり、多くのご理解とご協力をいただきありがとうございます。

本教育研究所では、教職員の研修への寄与と、資質向上を目的に研修講座を開催してきました。今回は「不登校事例の理解と対応」というテーマで講座を開催いたしました。スクールカウンセラー 尾野 裕子 氏 に講師をお願いし、ハイブリッド形式(会場とZOOM配信)で講演を行いました。以下は、講座の内容をまとめたものです。少しでも多くの先生方にご活用いただけると幸いです。

研修講座の様子

会場・ZOOMを合わせて30名を超える先生方に参加いただき、開催することができました。2時間ほどの講習内容でしたが、参加された先生方も、本教育研究所所員にとっても興味関心が高い内容となりました。今回は、スクールカウンセラーの仕事の紹介や不登校事例を最近多い2パターンを中心に講義していただきました。

不登校の2つのタイプ


不登校中でも多く見られる2パターンの特徴と、基本的な対応についてお話いただきました。

1つ目は「過剰適応タイプ」で、「友達と合わせ過ぎて疲れてしまう」「相手に自分がどう思われているのか心配になる」といった内容を訴える場合が多く、自分よりも他者を優先する傾向が強いということでした。

2つ目は「発達偏りタイプ」で、「ほかの人に嫌なことをされた」「自分には正当な理由があってやったことなのに、認められない」といった内容を訴え、他者よりも自分を優先する傾向が強い。

タイプ別の対応例

 

<過剰適応タイプ>

学習や行事に対しては、意欲をもって自分なりに取り組むことができ、頑張りたいという意欲ももっている。一斉授業よりも個別学習を得意としている。

登校を促す際は、無理にセッティングを行わず、自分で決めて行動するのを待つことが重要。

<発達偏りタイプ>

学習自体を苦手としているのでやりたがらないが、行事に出ること自体はできる場合が多い。登校を促す際は、具体的で小さな目標を一緒に考えて実現させていく。家庭で少しでもできていることを「できたね!」とほめて認めてあげることが重要である。

※注 「過剰適応タイプ」「発達偏りタイプ」については、尾野SCが今回の講座のために名づけたものであり、一般的な呼称とは異なる場合がございます。

また、どちらのタイプにも分けられないケースやその時々で違う場合もあるため、はっきりと2つに分けられるものでもないということもご確認ください。

参加者の声

  • 不登校生徒の二つのタイプが増えてきていることを実感しています。一昔前は、いじめなどのトラブル等原因がわかりやすい面がありました。ここ数年、生徒の対応の難しさを感じる毎日です。今回、グループ討議でも感じましたが、担任だけではなく、養護教諭だけではなく、全教職員で対応している様子を聞くことができ、うれしく思いました。解決は、難しいですが今、出来ることをコツコツ取り組みたいと思います。
  • 本校にも不登校児童がおり、その対応に困っていたこと、悩んでいたことがありました。「過剰適応タイプ」、「発達偏りタイプ」と大きく2つに分けて示していただけました。もやもやしていたところが整理され、2学期の取り組みの参考にもなりました。ありがとうございました。
  • 不登校の子どもの実態と関わりについて、自分の学校の生徒に照らし合わせながら考えることの多いお話でした。堅苦しくない、実践に基づいたお話であったので大変興味深く聞くことができました。個々のケースで違いはありますが、養護教諭としての寄り添い方に戸惑うことも多い日々、今一度子どもの側に立って考えてみたいと思いました。こういった繋がりを、これからも大切にしていきたいと思います。ありがとうございました。
  • 不登校の見立てとして、タイプを2つに分類して、どう対応していくのがいいのかがわかりやすく説明していただきました。ありがとうございました。タイプが違うと対応の仕方も180度違うので、タイプを見極めて、子どもに応じて対応していかなければならないと改めて思いました。

おわりに

不登校の児童・生徒に対する接し方は、教師にとって常に大きな課題の一つであります。「不登校」と1つにまとめてしまうのではなく、その特性や背景に目を向けて、適切で効果的な対応を学び続けることが私たち教師には求められています。今回講座で学んだことが、今後の指導等に活用されていくことを願っております。講師をしてくださった尾野SC、そして受講して下さった皆様に心から感謝申し上げます。

 

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