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研修講座のご案内

令和5年度 第36回 冬季研修講座のまとめ

2024年01月31日(水)更新

基礎から学ぶLGBTQとSOGI 子どもたちからのメッセージ

はじめに

時下、胆振管内教職員の皆様方には益々のご健勝のこととお喜び申し上げます。また、平素より胆振教育研究所の研究にあたり、多くのご理解とご協力をいただきありがとうございます。

本教育研究所では、教職員の研修への寄与と、資質向上を目的に研修講座を開催してきました。今回は「基礎から学ぶLGBTQとSOGI 子どもたちからのメッセージ」というテーマで講座を開催いたしました。SOGI-Mamii’s代表 高橋 愛紀 様 に講師をお願いし、ハイブリッド形式(会場とZOOM配信)で講演を行いました。以下は、講座の内容をまとめたものです。多くの先生方にご活用いただけると幸いです。

研修講座の様子

会場・ZOOMを合わせて約40名の先生方に参加いただき、開催することができました。2時間ほどの講座でしたが、参加された先生方も、本教育研究所所員にとっても興味関心が高い内容となりました。今回は、下記の2つの内容を中心に講義していただきました。

LGBTQとSOGI・性の多様性の受容

はじめに、性の多様性を理解し、受け入れる社会を構築するための具体的な方策が提案されました。まず、講師より自分の息子がトランスジェンダーであることを受け入れる過程が詳細に語られ、この経験がどのようにして自身の理解と受容の態度を変えたかを共有しました。また、性の多様性に対する理解を深めることの重要性を強調し、他の人々にも同じような理解を促す手助けになることを願う内容でした。

次に、教育現場での性的マイノリティの児童生徒が抱える課題や、直面する偏見や排除感について詳しく語られ、教育者や同級生がどのように対応すべきか、より安全で受け入れやすい学校になるためにはどうすべきかという話をいただきました。

社会的課題と解決への願い

息子さんの「LGBT成人式の辞」の音声より、トランスジェンダーの教師として、学校の教壇に立つという夢、先生自身がカミングアウトし、教育現場に立つことが社会を変えていくためのひとつの手段であり、ジェンダーやセクシュアリティの問題で悩む多くの子ども達を勇気づけたいという強い思いが語られました。

「生まれてきた子供たちは、みんな同じ日本の宝であり、髪の色も目の色も性別も、障がいがあるないも、職業も宗教も、みんな違って当たり前、みんな違ってみんな特別な存在、全ての人々が平等に安心し未来を描く生活が送れるようになってほしい。カミングアウトなど必要としない世の中になってほしい。そして、差別や偏見などの言葉もなくなってほしい。」そんな思いが、講師の高橋様とお子様のメッセージを通して語られました。

参加者の声

  • 中学校の養護教諭です。当事者のお声と体験談、高橋さんからの「親のお気持ち」を聞けて、とても良かったです。制服の話で「ジャージ登校がほっとした」という感覚を知ることができてよかったし、「思春期(二次性徴)が一番つらい」という気持ちを教師側が理解しておかなければと思いました。高橋さんがおっしゃっていた「本人が消えていく…と思っていたが、最初からだったし、まわりに合わせて生きていただけだった」という言葉が、とても心に残りました。今日のお話を職員みんなで共有していきたいと思います。余談ですが、高橋さんがお母さんとして心が揺れ動いた体験と、お父さんが意外なほどさくっと受け止めた時のお話が、どちらも素敵で、笑顔がでました!お二人の声を聞けて良かったです。
  • お子さんたちの葛藤や、それぞれの個性を家族みんなで受け止めようと奮闘されていた様子やご家族の皆さんの心の温かさを感じ、教員としてだけでなく人としてどうあるべきか考えさせられました。大変貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
  • LGBTQの悩みなどをもっている子たちは、この社会で生きていくために自分を隠して、バレることを恐れながら生きているのだと思うと胸が苦しくなります。どんな子でも自分の生き方を見つけ、その歩みを止めずに進んでいけるようにするには、あたたかい社会の形成が必要だと思いました。子供が勇気を振り絞って話した内容について、大人として否定せず、受け止めることができれば…と思います。
  • 当事者の母という立場からの話がとてもわかりやすかった。葛藤がある仲、どうやって「その子はその子」という気持ちになるまでの色々なことが聞けて良かった。理解できなくても否定はしないという言葉が印象的でした。そして、色々な人がいるということを意識しながら生活し、言動にも気をつけて、多様性を受け入れられるようになっていきたいと思いました。

おわりに

近年、多様性を認めることが大事だと言われる社会になりました。SDGsの中にもジェンダーの目標が語られていますが、その一方で、一定の枠からはみ出ることが「普通じゃない」と弾かれてしまうことが少なくない我が国。そして、学校現場の中にもそれが色濃く出てしまう実態があるのもまた事実です。「互いの個性を認め合い、多様性を尊重する社会をつくる」ために、まずは「知る」。そしてできることから始める。それが私たち教師にも求められています。今回講座で学んだことが、今後の指導等に活用されていくことを願っております。講師をしてくださった高橋様、そして受講してくださった皆様に心から感謝申し上げます。

 

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