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研修講座のご案内

令和5年度 第35回 夏季研修講座のまとめ

2023年09月20日(水)更新

個別最適な学びと協働的な学びを効果的にするICT・端末の活用

はじめに

時下、胆振管内教職員の皆様方には益々のご健勝のこととお喜び申し上げます。また、平素より胆振教育研究所の研究にあたり、多くのご理解とご協力をいただきありがとうございます。

 本教育研究所では、教職員の研修への寄与と、資質向上を目的に研修講座を開催してきました。今回は「個別最適な学びと協働的な学びを効果的にするICT・端末の活用」というテーマで講座を開催いたしました。北見市立三輪小学校教諭 塩谷 直大 氏 に講師をお願いし、ハイブリッド形式(会場とZOOM配信)で講演を行いました。以下は、講座の内容をまとめたものです。多くの先生方にご活用いただけると幸いです。

研修講座の様子

会場・ZOOMを合わせて40名を超える先生方に参加いただき、開催することができました。2時間ほどの講座でしたが、参加された先生方も、本教育研究所所員にとっても興味関心が高い内容となりました。今回は、下記の2つの内容を中心に講義していただきました。

ICTを活用する前の集団作り・約束作り

ICTを使った学習をいきなり行うのではなく、年度初めに「パスワードは家のカギと同じ」などと、スライドを使ってルールを確認したり、児童の実態を見極めたりするところからがスタートであることをお話しいただきました。ゲーム活動を通して、ICTを使う時に話が聞けなくなるかもしれない児童を確認し、その上で、10の手順を踏んで少しずつICTに慣れさせていきます。そして、子ども達が「自走」していくことを教師がイメージした上で様々なことを経験させること、その経験をもとに子ども達の活動を見取り、大きく褒め、「伝播する」という児童とのやりとりの体験を話していただきました。

ICTスキル系統表と、ICTを活用した授業の実践例

たくさんの資料を用いて講話をいただきました。「情報活用能力育成のための系統表」において、「一斉指導を中心に学び方を『習得』」→「学び方を活用するため一斉指導を減少させる『活用』」→「プロセスの中で学び方を選択する『探究』」というフェーズに分け、低学年期で「体験を蓄積して習得させる」、中学年期で「習得から活用させる」、高学年期で「活用から探究へ」、そして中学校以降に探究活動ができるよう、Googleのツール以外にもロイロノート、Canvaなどの外部ツールの系統について紹介していただきました。また、「自分の学びをDXにする学びの地図」という子ども向けのDX資料も紹介していただきました。これは、どの学校においても参考となるものでした。

最後に、Padletという掲示板ツールを使って「たんぽぽの ぽぽのあたりが 火事ですよ」という俳句の情景を思い浮かべて、「音読コース」「読み取りコース」「絵コース」「画像コース」など、学習の方法を選択させることや、自分のゴールを決めさせることを実際に体験を通して学ばせていただきました。個別最適な学びや協働的な学びにつなげていくためには、その1時間をどうするかではなく、低学年期から少しずつスキルを身に付けさせ、学び方を教えていく必要があることを感じる内容でした。

参加者の声

  • 先生の明るいお人柄と、児童や集団の的確な見とりがICT教育には必須だと思いました。先駆者の立場からは、現場が追いつくまで、もどかしい思いもされるかと思いますが、ぜひ今後も講師として、先生の知識と経験を全国に伝播させていっていただきたく思います。本日は本当にありがとうございました。
  • とてもとても勉強になりました。約2時間にたくさんの内容が詰め込まれており、感動の一言です。日頃、自分自身の不勉強により子ども達に教えられていないと感じていましたが、先生のおっしゃっていた「自走のために」という観点は、眼から鱗でした。また、すぐに使えそうなルーブリックや、他の学習で活用できる技、注意点など、夏休み中にやりたいことや準備できそうなことがたくさんありました。自身の教師力や、個別最適な学びと協働的な学びにつなげる手立ての多くに気付かされました。今回、受講することができ、本当に良かったです。心よりお礼申し上げます。
  • 本日は、ICTの研修を開いて下さりありがとうございました。アイスブレイクする中で、特性を考え次に生かしたり、10のステップがあったりと学ぶことがたくさんありました。また、子どもたちの不思議や知りたいという気持ちからICTも活用しつつ考えていく、教えていくというスタイルが素敵だと思いました。
  • 端末は一つの学習用具であるということについて具体的なお話をお聞きでき、大変良かったです。学習用具ですから、年度初めにルールやしくみを教えていくこと、その上で慣れるための指導ステップについてお話ししていただき、学級で早速試していきたいと思いました。そして、学習用具として活用させていくための教師の関わり方のお話も、大変分かりやすかったです。子ども達が「自走」していくことを教師が描いておき、それに向かって様々なことを経験させること、その経験をもとに子ども達の活動を見取り「驚いてほめ、伝播する」という関わり方、2学期にどんどんやってみようという気持ちになりました。頂いた資料も大変詳しく、正直圧倒されてしまいますが、自分の学校で子どもも先生もみんなで高め合っていくために、具体化していきたいと思います。

おわりに

ICTを使った学びは「目的化」してしまいやすいものです。ただ、その土台となるものはやはり学級経営であり、児童生徒の的確な見取りがスタートとなります。また、端末を学習用具の一つとして、少しずつ段階的に慣れさせ、大いに価値づけることが重要です。そのために学びをアップデートし続けることが私たち教師には求められています。今回講座で学んだことが、今後の指導等に活用されていくことを願っております。講師をしてくださった塩谷先生、そして受講して下さった皆様に心から感謝申し上げます。

 

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